「やるって言ったものの、言ってから後悔した、みたいなアレですよ」
「だってしゃべり相手がいるんだったらいいんですけど、1人でしゃべるのかと思って、普通だったらトークライブ今までやってきたときって、そういや相方がいたなあと思って…自分がしゃべんなくても、相手に振ったらレスポンスが返ってきたりとか、相手からも何か投げかけてくれたりとかがあるわけじゃないですか」
「でもみなさん黙ってるでしょ?恐らく…俺と会話をしてくれるんだったらいいんですけど、恐らく誰も笑うだけで何も言ってくれないんじゃないかなと思って」
「言ってはみたものの、1人で何時間もしゃべれるのかなあっていう、すごい不安に襲われています」
「で、今日実際何を話すかみたいなことも事前に考えてくればよかったんですけど、考えよう考えようと思って結局全然違うことばかりしてました…すいません」
「最近新しいゲームを始めてしまいまして…それでプレステ4ばっかりやっています、最近」
「今日、全部で4部構成になってて」
「ここでいつもやると、トイレ行列がすごいことになるじゃないですか、なんで、休憩の数をちょっと増やそうかなと思って、細かく刻んでいこうかなと、思ってます」
「なんで、1回目のときに列長ぇなと思ったら2回目まで我慢してください」
「トイレ休憩15分20分あれば足りるかな~と思ってても、30分くらい列が途切れないこととかがあるので…なので今日は大丈夫ですよ、トイレ休憩いつもより多いんで、安心して、我慢してください」
第1部
Anachronism/Fatima
「Fatimaの歌詞の中でも特に難解な歌詞なんじゃないかなっていう…たぶん普通に聴いてても、ほぼほぼ意味がわからないんじゃないかなっていう」
「ちなみに、このAnachronismっていうタイトル、"時代錯誤"っていう意味なんですけど、歌詞の内容とはまったく関係なくて」
「身分違いの恋を歌ってます」
「時代背景とかは特に意識はしてないんですけど、まあ曲調が昔っぽいので、で、結構日本語で難しい言葉とか使ってるので、どうしても和っぽくなるのかなとは思うんですけど、…特に昔の時代を意識した、というわけではないです」
「まず、主人公なんですけど、男でも女でも、これはどっちでも…自分的にはよくて、身分が高いひとに恋をしてしまったと」
「叶わない恋なんだけど、ひと晩だけ身体の関係を持ってしまうことがありまして、そこからそのひとに夢中になってしまうのだけれど、結局のところ身分違いなので、叶うことはないっていう歌なんですけど」
千の色染まれ我が身 単色は不安 淡い闇
顧みた君の強さ 心引かれ夜毎葛藤
咲いた 枯れた 空に舞った 叶わぬ恋は誰の所為
千の色染まれ我が身 単色は不安 更に闇
「Fatimaやって…活休中かな?大佑抜けて…だから2年目くらいなんで…たぶん21とか2とかそのくらいの頃に書いた歌詞なのかな」
「Moranではね、散々闇を肯定的な意味合いで書いてるんですけど、まだこの頃は闇をあんまりいい意味では書いてなくて、不安を表すみたいなことで、書いてる歌詞ですね」
「相手に盲目になりすぎてしまって何も見えなくなってしまっているっていう状況が、『単色は不安 淡い闇』っていう、要は1つのことでいっぱいいっぱいになってしまって、今自分にはもう何も見えなくなってしまっていると」
「叶わぬ身分違いの恋をして、それは誰のせいなんだろうって、自分のことを呪ってみたり相手のことを呪ってみたり」
涙枯れた故に消えた体裁 陰鬱に孕む薄紅
千の灰汁と染まる我が髪
枯れた夢には触れぬように 夜毎拒む薄紅
千の悪と染まれ我が身体
「この歌詞ってやたら『千』っていう言葉とか『あく(灰汁、悪)』って言葉がしつこくしつこく何回も出てくるんですけど、それは敢えて耳障りがすごくそういうところに持っていかれるように書いています」
「叶わない恋をしていて、自分の心を救済するために、主人公は色んなひとと関係を持ちます…そのひとが手に入らないのであれば、いっそ、もっと他のひとに気持ちが向けばいいのにっていうんで、色んなひとと関係を持つんだけど、結局そのひとを追い出すことができないっていう」
「『枯れた夢』っていうのは、そのひとと結ばれるっていうことは所詮夢でしかないのだから、そのことを思わないように」
「『薄紅』は恋心のことを表してます」
「自分の恋心を拒むかのように、枯れた、叶わない夢を望んでしまわないように、『千の悪と染まれ我が身体』、この悪も結局、不義理、相手に対して一途でないように、色んなひとと関係を結んでしまうことを表してます」
背に焦れて みかえり欲す故 微賤の定めと葛藤
「微賤っていうのはですね、身分が低いことを表す言葉だったかな」
「本当は叶えたいんだけれど叶わないんで、って描写が続いて、百人一首」
花の色は うつりにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせしまに
「この百人一首も歌詞の内容とリンクしていて、これは綺麗な花に見とれているうちに自分もずいぶん歳をとってしまったなっていう歌」
あらざらむ この世のほかの 思ひ出に 今ひとたびの 逢ふこともがな
「もうすぐ自分はこの世を去ってしまうけど、せめてもう1度会いたいなって感じで」
「別に病気で死んでしまうとかではないんですけど、この主人公って、ある決断をしようかなというところの歌ですね」
涙枯れた故に消えた体裁 陰鬱に孕む薄紅
千の灰汁と染まる我が髪
枯れた夢には触れぬように 夜毎拒む薄紅
千の悪と染まる我が髪 枯れる身体
せめて火に身を討つ頃を背に忘れたかった薄紅
夜毎覚めない枯れた夢に呑まれる様に 胸を焦がす薄紅
千の悪と染まれ我が身体
「たぶんここ(『せめて火に身を討つ頃を背に忘れたかった薄紅』)の表現がすごく難しいんじゃないかなって思うんですけど」
「討つっていう言葉って、仇を討つとかそういうときに使うわけで、要は、命を絶つみたいなときに使う言葉なんですね、殺すみたいな」
「自分の身を火に焼いて、自分自身の身体を討つっていうか、で、そのときがいよいよ迫って、そうすることによってでも忘れたかったんだけど、結局その自分の恋心を忘れることができなかったから、自決する意志を固めて、最後は火に焼かれて自決してしまうっていう」
「結局囚われてしまった想いは覚めることがなくて、で、最後の『千の悪と染まれ』っは、叶えられなかった自分の心を悪として、その気持ちのまま炎に焼かれて死んでしまおうっていう決断をするっていう感じの歌です」
「ヒントとしては微賤の定めっていう言葉で、辞書で調べたときに、身分が低いことをいうんだってところかなあ」
Bulbs/Moran
「原曲を聴いたときにとにかく明るくて前向きな歌詞を書かなきゃいかんなと思って、たぶんラストに持ってきたいんだろうなって、だったら前を向いたような歌詞を書かなくちゃいかんぞと」
「じゃあ俺にとって前向きな言葉って何なんだろうってときに、弱音ばっか吐いててもダメだから、覚悟を決めた歌を書きたいなと思って、何をテーマに書こうかなと思って、あらゆる生命を考えたときに植物ってすごいよなと思って」
「どこからでも生えてくる生命力を持ってるっていうか、そこって決めたらそこでしか生きられないわけじゃないですか、自分で選んだわけでもないけど根を張って生きていくって、素晴らしいなあと思って書いたのがBulbs」
「実際世の中に生まれ落ちて、世界の美しいものだったりとか醜いものだったり色んなものを見ながら生きていくわけじゃないですか」
「俺、動物が動物を食べるシーンってすごく美しいなって思うんですよ、たとえばライオンがシマウマをとるときとか、シマウマも生きてるのに必死なのに食べられちゃうってすごく可哀想なことなんだけど、やっぱり捕食するっていう行為自体は俺は美しいことだと思うから、そうやって世界のバランスは成り立ってるだろうから」
「普段肉とか魚とか当たり前のように食べてると思うんですけど、実際命を奪われる姿を目にする機会がないわけじゃないですか、だからそういうものにもちゃんと目を向けた上で、その上ですべてがなりたってるってことを、美しいとちゃんと言えるようになりたいなと思ったっていうか」
「食べないってひとも、それはそれで俺はすごく美しい思想だなと思うんですけど、自分の本能が欲するものを食べて生きてるわけだから、それを否定するのはちょっと違うのかなと」
スコールで濡れた木々を
斜陽が照らして
木漏れ日は黄金色に輝く
その光を浴びながら
駆ける野生馬の
溢れ出す躍動 伝えるたてがみ
「命のメカニズムの美しさみたいなことを歌いたいなと思って」
「ただ実際問題、野生馬ってほとんどいないらしいんですよ…この歌に書いてある光景は実際に世の中にはもうないものなのかもしれないけれど、そういうものがなくなってほしくないなあっていう思いも含めて、ここは敢えてそういう風に書いてます」
ポーラーベアは狩りへ
命を嗅ぎ分け
口元を紅く 鮮血で染め上げていく
「白クマって氷が張ってる期間しか狩りができないじゃん、今すごく地球温暖化が進んで、痩せ細った白クマが世界中で目撃されてて、いつか野生馬みたいになってしまわなければいいなって」
「狩りをして口元を真っ赤に染めてる姿はすごく力強いもので、逞しく美しく見えるっていうことで書いてます」
かくも優しき言葉は溢れ
紛う事ない奇跡の星で
倒れた人の上を人が 歩いてゆく
そんな音が響いた
「人間社会ってすごく綺麗な言葉っていっぱい溢れてると思うんですよ、すごく目に見える形で溢れている」
「実際そんな綺麗事ばかりじゃなくて、意図的にひとを騙してしまったりとか、ひとを利用してしまったりとかが当たり前のように行われていて」
「本能にしたがって生きている世界っていうのとはちょっと違って、でもこの地球っていうのは奇跡的な星だから、そういう世界で自分は自分らしく、逞しく生きていきたいなって、みんなにも、ひとの世界にうんざりしてしまうことがあったとしても、その場所が自分の生きる場所なんだって覚悟を決めて逞しく生きてほしいなって、そういう力強さを歌いたいなと」
一つ処に根を張り巡らせ
絡み合っていないと
いつか不安に枯れる
「竹の話ってすごく好きで、竹林って1本の竹がそれぞれ1本の根を張ってるんじゃなくて、1つの根っこで全部繋がってるっていう、蟲師で見た話なんで本当にそうなのかは知らないんですけど、1つの竹林っていうのは家族みたいなもので根っこで全部繋がってて、生きることをちゃんと共有していってるっていうか」
「ひとの社会もそういう風に、表面上ではみんなバラバラだけど、根っこの部分でしっかりとした結びつきがあって、倒れてしまわないようにいれたらいいのになっていう」
さぁ どれだけ醜い世界が
この先に待っているとしても
時代を選べない僕たちが
明日を繋ぐ担い手
芽吹く時は「今」
「今だけ」
「こんなに醜い世界だけど、時代も、生きる場所も、選べないのだから、覚悟を決めてここに芽を出して生きていきましょう、僕らが生きる時代っていうのは過去でも未来でもなく、今だけなんでっていう、そういう歌詞です」
「関係ない話もしてもいいすか途中で」
「歌詞の話ばっかしてると俺が精神的にしんどいですよ(笑)」
Mr.Imbalance-44/Fatima
「私このごろ不安であまり寝てないのよ
「最近この街で物騒な事件がたて続けに起きるじゃない?
「私の周りの子達も もう何人か行方知れずだし
「きっと噂のあの男に殺されたに違いないんだわ」
震えた手で煙草に火を点けた彼女は泣いて
「猫達に餌をあげに行かなきゃ」と言った
「愚痴から始まる歌詞ですね」
「野良猫たちに餌をあげてるんですよ、近所の…そういう優しい女性なんですね」
今じゃ国中がその男の話題で持ち切りさ
騒ぎ立てられるのは好きじゃないが、さほど悪い気もしない
そんな事よりあの美々しく大胆なセンスが理解されているか?
俺は異常者でもなければ偶像でもない
生温い夜が鳴いて誰を読んだ?「いや、もう吐きそうだ」
「アートのようにひとを殺していく殺人鬼で」
「吐きそうなの僕です、殺しに喜びを感じているのかが、自分でもよくわからなくなってきている」
欠落した都会の灰汁に 花と報いを もっとバター塗る様に
築き上げてきた物 全て失いそれさえ何の意味を持たなくても
「また出てきましたね、"灰汁"っていう言葉…個人的にすごく好きです」
「不純物とか悪いものとか、不要なものを表したいときに"灰汁"っていう言葉を使うようにしてるんですけど…実際灰汁って何なんですかね、何で取らなきゃいけないか知らないんです、ただ、『悪いものだ、取らなきゃいけないものだ』って聞かされてるんで、一生懸命取ります、そういうことなんですこの歌、『都会の灰汁を取り除かなきゃ』と」
「花って本来相手に贈るものじゃないですか、このサイコパスのシリアルキラーにとって、"死"は浄化なんです、死によって相手を浄化させてやってるっていう押し付けですね」
「バターを塗るかのように、軽やかに殺しをやっていくわけです」
「そんなことばかりしていたら警察にも捕まっちゃいます、そうやって自分が築き上げてきたすべてを失って、自分がやったことに何の意味を持たなくても、それを止められないでいる」
生温い夜が鳴いて誰を読んだ?「嗚呼、一人は嫌いだ」
欠落した都会の灰汁に 花と報いを もっとバター塗る様に
ずっとあの子を独り占めしてたいな
「1人になるのが怖いんだけど、1人は嫌いなんだけど、主人公は、この愚痴っぽい女の子、不安で寝れない女の子のことが大好きなわけなんです、この子のことが好きで好きでしょうがなくて、この子のためにひとを殺すようになるんですね」
「その子に関わるすべてのものが憎らしく思えて、その子だけがこの世界で輝かしいものであってほしいと思うから、そのひとの周りにいるものからどんどんどんどん手にかけていく」
泣いていいよ 枯れていいよ「そうだ、またそれだ」
欠落した都会の灰汁に夢と愁いをもっと 無垢の咲く星に
誰よりも綺麗なあの子の為に 俺だけが翳る様に
それが何の意味を持たなくても
「その子をこの世界の中で自分1人のものにしたいとか、その子が輝くだけの世界にしたいって、周りのひとたちをどんどん手にかけていっているのに、結局全然その子が幸せそうになれないから、主人公はすごく苛立ちを感じていて、またこれかっていう、今度は主人公が愚痴ってしまった」
「誰よりも綺麗なあの子の為に、自分だけが翳りとなって、それが何の意味も持たなくても、結局また殺しを続けていってしまうっていう男のお話です」
「ちなみにimbalanceは"不安定"って意味なんですけど、"44"って数字にはまったく意味がないです」
「CDタイトルで見てもらえればわかるんですけど、"M:I-44"って書いてあるんですね、この頃ミッション:インポッシブルの2がやっていまして、それが"M:I-2"ってタイトルだったんですよ」
「で、ミッション:インポッシブルのテーマが曲中に出てくるわけじゃないですか、ミッション:インポッシブルのテーマソング取ったろうぜっていう気持ちで、でもとりあえず3は無理だろうと、なんで44作目くらいのタイアップを狙っていきたいっていう」
「しかしですよ、今5くらいまできてるんですよ、44作目きますよ…だから42作目くらいになったらトム・クルーズに送りつけようかなと、『何十年も前から用意してました』って…そういう感じでタイアップを狙った曲です、サイコパスなキャラクターが出てくる作品だといいなっていう」
Element/Moran
「Moranの1st シングルのメイン曲というか、初っ端からこんな暗い歌詞でいいのかっていうくらい内容は暗いんですけど、失恋した男の歌、と捉えていただいていいのかな」
涙で溶いた絵の具を使い 湖を描く
それは 明日にも僕が溺れる
底のない悲しみが満ちる場所
好きに描き足してくれよ 虹や水鳥や向日葵
その視線は内側へ 全て僕に集まるように
「青一色で絵を描いて、それを湖とするから、で、『好きに描き足してくれよ』、これは誰でもいいから、もし何か描き足すのであれば虹や水鳥や向日葵、そういった悲しい象徴ではないようなものを」
「ただしそれをすべて中央に向けてほしい、やがて僕が底に溺れていくから、僕を見守るように描いてくれないか、ということを言っています…よほど悲しいんですね」
Who can feel every sorrow of mine?
味気ない世界で 日々老いる影
二度と幕は上がらない
Who can finish my empty life?
今はもうここに 響かない声
足跡を辿りながら
奈落という土に
陰鬱という花に
身を添わせて ただ咽び泣くだけ
「ひたすら悲しい言葉が続いて、僕の悲しみを誰が知ることができるだろうかっていう」
「Moranがスタートした年で30とかなんですよ、年齢に対する不安とかやっぱりすごくあって…『二度と幕は上がらない』ってこれからMoranという幕が上がるのに何を言ってるんだっていうね、上がるよ!っていうね、これから(笑)」
「syrup16gの去年出たアルバムの中でも五十嵐が、バンドをやっていなかった時期の精神状態みたいなものを書いている歌詞がすごく多くて、どんな日々を過ごしていたかがそこに詰まっているみたいな歌詞になっているんですけど、割とこれもそうで、何にもやってない自分には何の価値も感じられない、毎日時間だけが過ぎていって歳ばかり食っていく、そういう不安の中で日々を過ごしていた3年間だったんで…そういうときの気持ちが表れてるんだろうなっていう」
「で……まぁいっか、どんどんぶっちゃけていきます、えっとね、失恋もしてるんですよ、俺と違って前をしっかり向いているひとだったんで、ただ、あまりにもそうやってしっかりと前を見ているから、その相手が見てる未来の中に自分はいないんじゃないかって不安になることがすごくあって」
結び合った指も血も
いつかは 剥がれる 一つにはなれない事
それさえ解っていたはずなのに
「相手との強い結びつきを信じてはいたのだけれど、どこかでは自分でもわかっていたはずなんだけど、いざ失ってしまうと、途方もない悲しみばかりが今自分を取り巻いていて」
Can you feel every sorrow of mine?
遥か先を見る その横顔が 僕の知る全てだった
Can you feel every sorrow of mine?
遥か先を見る その横顔が 僕の知る全てだった
「『遥か先を見る その横顔が 僕の知る全てだった』、この言葉すごく気に入っていて、横顔ってつまり自分の方を見てないわけじゃないですか、だから結局相手はすごく先の方ばかりを見ていて、僕は横顔ばかりを見ていたんだなっていう…1番自分の中に強く残っているのが相手の横顔だったから、相手はしっかりと前を見ていたのに、自分ばかりが前を向けてなかったんだなって後悔みたいなものを、最後に2度繰り返して」
Marvelous/Fatima
「失楽園ってあったじゃないですか、あれをイメージして書いた歌詞ですね…失楽園見てないのに、こんな感じかなってイメージだけで書いてみたくなって、書いてみた歌です」
「ちなみにMarvelousってタイトルは最初からついてたんで、最初に曲と一緒にタイトルをもらって、『この曲タイトルMarvelousだから』っていう風に言われて渡されて、じゃあMarvelousな歌詞書くかー!っつって、Marvelousって何だろうってなあと思って」
「その頃たぶんやってたんですよ失楽園が、で、見たことはないけどMarvelousな愛に違いないと思いまして…不倫を肯定するわけではないんですが、最後に心中するでしょ?見たことあるひといます?心中するかしないか知らないんだけど、たぶんしたんじゃねえかなっていう勝手な解釈を元にこの歌詞を書いてるんで、それを踏まえた上で読んでいくと、すごくわかりやすいと思うんですけど」
「愛しい」以外は無言で
空っぽのグラスを口にした
「けれどいつか傷付け合うのよ」
僕の側で彼女は泣いた
薬指が触れるあたりまえ
「僕はここにいる?」
「結局こんな関係を続けていたところで、傷付け合うだけなんじゃないかってね、また愚痴です、はい、よく愚痴りますね、僕の書く歌詞の女のひとは」
「薬指が触れるくらい、こんなに近くにいるのに、ほんとに、自分は今ここにいるのかっていうくらい距離感を感じているわけです」
「どうしてこんなに想い合っているのに、『愛しい』以外の言葉は口を突かないのに、どうして、いつか傷付け合ってしまうような関係なんだろうっていうね」
叶うことを願う、それだけで
「やめて。いつか虚しくなるでしょ」
「卒論(離婚届)…出すよってことなんじゃないかな、でもほんとは書く気ないんでしょ、虚しくなるだけだからやめてよってことですよね」
薬指が触れるあたりまえ
「僕はここにいる」
「こんなに近くにいるじゃないかと」
「1回目ははてなマークが付いているんですけど、2回目にははてなマークが付いていない、確かな意志でここにいるんだよと、ちゃんと伝えてるわけです」
種を地に蒔いた 枯れた土に蒔いた
「何も咲かない」と笑ってよ 僕を見たまま
「不毛なことをしているってとを表したかったというか、結局不倫って不毛なことじゃないですか、誰も幸せにしないというか、だから結局そこに素敵な花が咲くことはないのだけれど、それをやめないでいる僕をずっと見ていてほしい、何も咲かないと笑ってほしい、それをわかった上で僕を見ていてほしいという」
腕の中に強く閉じ込めた
「これできっと悲しくないでしょ」
僕の中で彼女は鳴いた
「 前2回の"ないた"は涙を流す意味での『泣いた』なんですけど、ここは音を鳴らす方の『鳴いた』になってます」
薬指が落ちる温かさ
「君はここにいる」
「殺しましたね、殺してます」
「『腕の中に強く閉じ込めた』『彼女は鳴いた』…まあ要は悲鳴ですね、相手の意志を確認せずに手にかけてしまう」
空は暗く沈んで 籠の寝屋は静けさを増した
「闇がさっき覗いていたよ。あそこはずっと暖かいのだろう」
月に想いを馳せる海月みたいにフワフワでいよう
そして僕の指も落ちたら、君を抱いたまま…
「『籠の寝屋』、愛人の部屋です、静けさが訪れて、闇が向こうで覗いていたよ、向こうはきっと暖かいのだろうって」
「自分たちを迎え入れるものは重い闇でしかないけれど、そこはきっと暖かいから何の不安もないよと」
「月に想いを馳せる海月みたいに、この闇の中に溶けていこうと」
「最後には薬を飲むか何かして、相手と一緒に心中しますという歌です」
「ちなみに僕は結婚もしていないですし、不倫経験はないです」
在り方/Moran
赤がざわめく 手と手結び 二人
同じ器の 左右でも虚しい
澄んだ夜空に映える 白い雲が綺麗
「あれになりたい」と確かにそう聞こえた
「『赤がざわめく』は、普通に血と解釈していただいて大丈夫です」
「生きているので血が通っているわけじゃないですか、手っていうのはやっぱり下ろしてるときほど血が通ってくると思ってるんで、だから血が指先の方に集まってきている状態で手を繋ぐってのは、すごく血と血を結び合わせるようなことでロマンティックなことだなあと思っているので、そういう表現をしています」
「器って要は身体を表す意味での器でもあり、心を表す意味での器でもあって、本来ぴったりと重なるはずの器を重ね合わせてもどうしてこんなに虚しいんだろうと」
「二人で夜空を見ながら散歩していて、なんとなく空を見上げているときに、『あれになりたい』と、彼女がそう呟いたように聞こえたわけです」
「今こうして、自分という存在が隣にいるにもかかわらず、彼女っていう実体があるにもかかわらず、そんな実体のないものにどうしてなりたいのかなあって、そんなに今満たされてないのかなあってことが悲しくもあり、なんとかしなくちゃなあって主人公は思うわけです」
薬指 その指輪 メッキの剥がれかけたそいつを
くれないか その指輪 俺の小指に似合いそうだろ
お返しとして些細だが「共鳴」と名付けた詩を
「彼女の薬指に指輪が付いているわけです、相手の薬指にそんなメッキの剥がれかけた指輪が付いているってことは、忘れがたいひとが彼女にはいると…自分が贈ったものだったらその指輪ちょうだいって言わないでしょ」
「もうその指輪を外して俺にくれないかって、たぶん俺の小指でも大丈夫だろ、きっと俺にも似合いそうだろ、そのお返しとして、些細だが「共鳴」と名付けた詩を贈ろうと」
この詩に救いなどなく 小さな鼓膜を揺らし
声にならない 叫びに寄り添って
胸の奥底で揺れる
この詩に救いなどなく あらゆる音を遮り
目には見えない 痛みに寄り添って
君と鳴く
「ここの部分が「共鳴」と名付けた詩そのままなんです」
「君が抱えてる痛み苦しみを取り除いてあげることはできないけど、その気持ちに共鳴、共感するような詩を君のために書くから聞いてほしいと」
「結局君を救うことにならないだろうし、何の救いようもないような悲しい詩を書くんだけれど、きっと君の今の感情に寄り添って、君の胸の中で君と一緒に鳴くだろうって」
「ここもまた、"なく"が共鳴するの、音を鳴らす方の鳴くになってるんですけど、まあ君と共鳴するだろうっていう」
誰も欲しがることはない「共鳴」と名付けた詩を
「こんな悲しい詩、誰も欲しがることはないけれど、今すごく悲しみに包まれている君に、「共鳴」と名付けたこの詩を贈るよって」
第2部
- 静む体温
- 薔薇色の地獄
- SNOWING
- 少女とクローゼット
- 紬糸
「予定を繰り上げまして、歌います」
「しゃべると声が枯れるな、これはさっさとやらないとやばいなと思いまして…飲み食いができないじゃないか…酒飲むと全然声が出なくなっちゃうんで…ってことで繰り上げました」