lonelyness everyday

輝いた明日があるはずもないくせに

DIR EN GREY×黒坂圭太 『輪郭』上映&トークライブ@UPLINK FACTORY

まず1985年製作の変形作品第4番<壁画>という56分の映画と、輪郭のクリップを観ました

変形作品第4番というのが音に合わせて映像が絶えず変化していくというか映像が音を鳴らしているような映画で、人間だったり動物だったりというような具体的なキャラクターは出てこずに抽象的なイメージと石ころのみで構成されていました

その直後に観た輪郭は、メンバーや鳥、家具など具体的な物が描かれてはいるものの音楽に合わせて絶えず流動的に変化していくという点においてはこの作品と非常に似ていて、こういう作品だったのかと気付かされました

黒坂監督の言葉を借りれば、『文法が同じ』だそうです

 

上映のあとは黒坂監督と、輪郭のクリップ製作に関わられたプロデューサー水由章さん、ビジュアルエフェクツ昼間行雄さん、またアップリンクで作品解剖などをしていらっしゃる赤塚若樹さんを交えてのトークライブでした

まずこの2作品を同時上映したことについて、メッセージ性のない映像、映像から何かを訴えかけるのではなく、鑑賞した個人がそのときの体調や心境によって感じることが変わる作品に挑戦したくて作ったのが変形作品第4番だったけれども思った通りにはいかず、輪郭クリップ製作にあたって何かのタイミングで見直したときにこれだと思った、とのことでした

輪郭クリップはフレーズごとに区切りたくて、何十分の1コマ単位で細かく調節し、曲のBGM的な存在ではなく、音と溶け合うようなイメージ、を目指したそうです

ストーリー性もあるけれどもそれだけではなく、『意味』のないものにしたと

 

黒坂監督の作品では五感を表すものや、最近では特に飛ぶもの(虫や鳥など)が重要であるため、輪郭でも眼球や鳥が出てきているということでした

また、同じく踏み潰すという動作も頻繁に出てきているようで、輪郭では直接踏み潰された映像は出てきませんでしたが潰れた鳥が登場しており、最初の部屋のシーンでバットが映っていることから、バットで鳥を叩き潰したと考えてよいとのことでした

ちなみに鳥が最後に生き返ったかどうかは曖昧にしてあるそうです

 

Agitated screams of maggotsのクリップ製作で初めてDIR EN GREYと関わることになった黒坂監督ですが、そもそもは敏弥が黒坂監督の『パパが飛んだ朝』という25秒のアニメ作品を90年代にケーブルテレビで観て知っていたことから依頼があったそうです

『パパが飛んだ朝』と同時にAgitated screams of maggotsも上映されましたが、踏み潰すという動作や羽もちゃんと出てきていました

Agitated screams of maggotsは黒坂監督が緑子という映画を製作中に製作したものなので文法は緑子と同じもの、輪郭は緑子が完成してからのものでまっさらな状態で作ったため、次の作品のスタート地点になるだろうとおっしゃっていました

 

話を輪郭に戻すと、輪郭の俯瞰画は薫くんにもうちょっと飛べそう…と言われたときに昼間さんと2時間ほどみっちり話し合ったときに出てきたものであること、黒坂監督自身は高所恐怖症なのでアニメーションだからこその画であるとのことでした

そして輪郭の最初の部屋は病室のイメージであるとも言っていましたが、実際モデルとなったのはご実家でお父さんが寝ていたベッド、Agitated screams of maggotsのおじいさんはご自身のおじいさんだそうです

 

赤塚さんの解釈によれば、鳥であったりAgitated screams of maggotsの最後で少女の背中から羽が生えたり、『パパが飛んだ朝』でパパにトンボ状の羽が生えるのも天使になったと解釈でき、また特に子どもの姿で天使になるのは智天使(ケルビム)であり、智天使は生命樹を守るため、パパは家庭を守るため、少女も母を飲み込んだモノを退治するためという点で同じと言えるとのことでした

そして最後に少女が天使とは思えない微笑み方をするのは、少女が堕天してルシファー側に堕ちたと言えるとも

なぜ堕天したかには言及されませんでしたが、天使が堕天するのは普通であるから天使と悪魔が少女の中に共存するのは矛盾しないとおっしゃってました

 

最初ミュージッククリップなど作ったこともないときに聞いたこともない会社(FREE WILL)から電話がきててっきり不動産勧誘だと思ったということ、ほぼ完成した曲と歌詩、和訳だけを渡され、事務所からメンバーの顔をどこかに出すように言われた以外は何の指示もなく自由に作ったこと、最初の打ち合わせにラフを持って行ったらメンバーからは何のダメ出しもなく

「そのままやっちゃってください」

と言われたということ、ソニーやテレビ局からNGは出たものの、メンバーや事務所からはまったく何もなく、特に京くんが完成作品を喜んでくれたこと(メンバーのみなさん非常に寡黙な方ばかりですから、ともおっしゃっていましたw)、全部想像できてつらかったです

 

そして輪郭は、京くんを中心に再度依頼があり、Agitated screams of maggotsと同じ手法で作ろうと思い曲を聴くと、確かに京くんの声なのに別のバンドの曲に思え、このとき京くんにいろいろあったため京くん自身にとっても輪郭は挑戦だったのだろうと

それなら同じ手法では作れないし真剣に受けて立たねばと思ったもののどうしていいかわからず…で、最初にも書いたとおり、変形作品第4番を見直してみてこれだ!となったとのことでした

輪郭のときは最初の打ち合わせができず、途中段階で、新木場のライブのあとに絵コンテを持って行って見てもらうなど、正味1ヵ月で製作したそうです

ちなみにAgitated screams of maggotsはメンバーは海外に行ったため完成したときには見れなかったとのことw

 

CDを売るためのプロモーションビデオとしてではなく、曲の視覚的な情報を与えるミュージッククリップとして作製していること、黒坂監督を全面的に信頼してすべてを任せて何のダメ出しもしなかったこと、などやっぱりDIR EN GREYっていいなあと思えたり、輪郭の最初の部屋にバットが転がっていることなど気付いていなかったところを色々知ることができたりと、有意義な時間を過ごせました